吉田:やっといてとかったな、ていうのはいろんな面白い人に会えたのはよかったなって。業界はいる前に。結構遠いようで意外に役に立つ、とは思ったりとか。
神志那:それ大学とかだろ?やっぱり。
吉田:大学とか、まああとは大学受験とかのとき。美術の予備校とかにいってるときとかに色んな変わった人にあったりとか面白い人にあったのは、結構後々交流があれば助けられることがあるなぁと。
渚:でも私も予備校の先生に言われたことがいまだに残ってたりしますね。絵捨てるなって予備校の先生に言われて、私いまだに絵捨てれなくて。どんな下手な絵でも。なんか駄作も恥じるために残しとけって言われて。お前は紙を0円にしてるんだからって。一枚2円の紙だったり、木炭紙だったら一枚12円なんで。それをごみにしてるんだから自覚持てよみたいになことを言う先生で。で、一切捨てれないんですよね。キャンバスなんて、入試の15号なんて3800円ぐらいするんで、それをまあ、毎回ごみにしてるわけじゃないですか。描くたびに。でも、その先生はジェッソとか塗ってもう一回同じキャンバスを使いなおすことを許さない先生だったんで。
吉田:ジェッソは専門用語だな。もう一回白くしてね。
渚:もう一回キャンバスを白くする道具ですね。平面に。粘土みたいなもんで。でもジェッソって使えば使うほど下の絵の味が出ていい絵になりやすいんで、入試には役に立たないんですよね。入試にはまっさらのキャンバスが置かれてるんで。だから毎回3800円払ってキャンバス買えよって先生で。
石井:ほんとにいろんな人に会っておくって言うのはやっぱりいいっていうか、それこそあんまりあわない人とかもいますけど、いろんな人に会えば数の分だけタイプの合う人もいたりするんで、そういう人たちとは大人になってからもいい助言もらったりとか。あとストレスたまってるときに飲みに一緒にいってくれる人とかがいるってのも大切だったりとかもするし。だから、入る前に、いや入った後からでもいいんですけど、仲間を色々と増やしておくっていうのもいいのかもしれないですけど。
吉田:なんか、俺と渚さんは大学いったけど、石井さんはまた専門学校で独特のものがあるんじゃないの。もう戦場が近いし。
石井:うちとかの場合は、現場の仕事っていうのは専門学校じゃ学べないよっていうのはもうすでに広まってたというか、ふわっとは知られているというか。いろんな人が言ってるじゃないですか。結局のところ。色んなところで、偉い人とかアニメーターのすごい人とかが専門学校で身につけた技術なんてプロの世界では通じないからみたいなことを言ってたりとかしますけど。でも、どういう職業があって、どういうプロセスで作られてるかっというのはふんわりとは一応分かるじゃないですか。
専門学校に行くっていう意味は、それこそちゃんと自分の行きたいところをちゃんと的を絞るところまでいけるって言うか。アニメ学科のほうで入った人でも自分は画力的に辿り着けてないって人とかはペイント(彩色・仕上げ)のほうに行ったりとか、自分はやっぱり演出のほうが気になるって人もその専門学校の2年間のところでちょっと方向を正すっていうか。だから大学から入るのとはちょっと違うというか。大学の場合はそこまでそういうのが分からない段階だったりとかすると思うんですけど。
渚:何も知らないですからね。
石井:どの作業をどういう人がやってるとか、もちろん分かる大学も今はあると思うんですけど。そういう学科とかがあって。だからちょっとそういう専門的なコースみたいなとこに入るっていう場合は、ちゃんと的が絞れるじゃないですけど、なりたいところをちょっとこう・・・
渚:そっか、専門で演出を目指すとかってのもありうるってことなんですね。
石井:東映(アニメーション研究所)のやつって演出の人いましたよね。
稲垣:そういうコースもありましたね。僕実は最初は演出コースでしたね。演出コースって行っても結局演出の勉強ってなんか教えてもらうものなんかなあって思って。逆に絵は勉強しないとかけないよなぁと思ったので、最初の半年は演出でしたけど、それ以降1年半は転科してアニメーターコースに入りましたね。
渚:演出なんて自分で作ればいいもんね。
佐野:いや、結構決まりごととか、あるんですよ。
稲垣:ただ、仕事にすればそれは結構覚えるところかなって思うところもあって。
石井:それこそ、専門学校でやったのは、もちろんそのまま仕事にっていうのだと、やっぱり仕事としては役に立たないよって言うのも分かるんですけど、でも専門学校で基礎知識の流れが分かってる人ってのは教えるあれも違うのかなって。
吉田:やっぱね、大学出でライブに入ったときに、専門の同期がいっぱいいたので。やっぱり専門の人のほうがね、やっぱり何をすべきかを分かってるからね、やっぱりスタートダッシュが早い。やっぱり大学のほうがちょっとぼんやりしてる。「えーっと、どうしたら、何がどう役に立つんだろう・・・」っていちいち考えなきゃ先に進めないので。専門学校の人は、「こうして、こうしなきゃいけないからこうしよう」っていうところで始めるから早い。うん。
稲垣:まあでも、多分それって一年か、そこそこやってれば簡単にうまる差ですけどね。
吉田:あ、でもそこで専門学校の人がすごいパワーを出すと、そこの差がなかなか縮まらない。
稲垣:僕もだから、専門学校で技術的教えてもらったところは結構覚えてますね。歩きとか走りとか延々一年間描かされたコースがあったんですけど、それなんかは結局動画になってからほとんど歩きの動画ってなかったんですよね、僕の場合。まあ一年ぐらいしか動画やらなかったっていうのもあるとおもうんですけど。そうなると、あまり正面(から見た)の歩きとかを自分が原画を描くときに、その時教えてもらった知識があるのでそこまで迷わないですけど。ただ逆にあの動画のときだけの感覚で原画になって中にどういう絵が入るのかをちゃんと自信もって描けてたかと言うとそれはあんまりなかったかもなぁと。そういう意味では色々教えてもらったのはよかったなぁと思いますけど。
石井:まあそれが最初っからできる人ってのももちろんいるけど。アニメーターとか、こういう専門職の怖いところってぽんっとできるひとがいるんですよね。天才系の人とか。まあそういう人たちのそれとは、比べてもいいけど、比べすぎちゃいけないって言うか。引っ張られすぎちゃいけないって言うか。
渚:でも結構おちこぼれって楽じゃないですか!
吉田:ふ、普通の人でいいんじゃないの。
神志那:落ちこぼれである、必要はないけど(笑)
吉田:いや、アニメ業界入ってなめちゃいけないな、て思ったのは、東京でアニメをやるっていうのは世界のサミット(頂上)のひとつでアニメをやるっていうことだから。だから天才が来る。だから普通の人と天才が混在する場所、当たり前に。なんか普通に暮らしちゃってるけど。だからたまに入ってくる天才に対してそんなに引け目を感じる必要はないかなって。
神志那:うん。
石井:それこそ、やっぱネットとかで見かけるすごい上手い人とかもめっちゃいますけど、そういう人たちを基準にしなくてもいいんじゃない、みたいな。やっぱり比べちゃうじゃないですか。でもそれとはまた別個のほうで頑張るっていうか。どれぐらい描ければって言うのも、基礎的な、ある程度の絵はやっぱりちゃんと描けないといけないですけど、それこそ自分がこの業界に入る前とかは、それこそもっと上手くなきゃいけなかったっていうふうに思いながら入ったりしたんで。そこまでそういうふうじゃなく、一応一回ぐらい気になるんだったら力試し的に、若いんだったら入ってみちゃってもいいのかなって。それこそまあ、ね、渚さんみたいに大人になってからどうしてもやりたかったって感じで入ってきちゃっても全然いいと思いますし。
渚:そこらへんはちょっと・・・微妙ですけどね・・・。
石井:いや、結局のところ、もうどんな人でもいいんですよ。とりあえず絵が描きたくって、あの・・・
渚:なんか、もう生きたいように生きればって感じですよね。
神志那:そこで〆るか(笑) すげえな、まとめ方が(笑)
(一同笑)
吉田:それはね、渚さんのすごい高い才能だから万人に言っちゃ駄目だよ(笑)
神志那:このあと「雪の女王」か(笑)
吉田:ありのままで(笑)
佐野:あれ歌った後、歌った人引きこもるって話ですよね。城に引きこもる。
石井:でもあれ、アニメのスタジオにひきこもる(笑)
吉田:佐野君はやっといてよかったこととかあるの?やっといたほうがよかったと思うこととか。
佐野:やっとけばよかったなってのはありますよ。やっぱり絵のこととかってどうしてもこの仕事始めたら絶対に対面せざるを得ないことじゃないですか。だから、学生のときとかってそういうこと考えないで、遊べばいいんじゃないですか。
吉田:ああ、逆に?
佐野:俺はもっと遊べばよかった。いや、遊べばよかったというか、遊ぶか勉強するかどっちかに集中すべきだったなって思いますよ。なんかどっちも半端だったなって。
石井:それこそ、学生のとき遊んで、業界入ってあの時ああしとけばよかったなって打ちのめされればいい、みたいな感じの(笑)
稲垣:なんだっけ、あの雑誌とかでアニメーターになるためにはどうしたらいいですかって聞かれたときに、絵なんか描いてなくていいから恋愛をしろ!みたいなことを書いてあって、全然参考にならない、これ、みたいな。どうでもいいよそんなことって読んでた当時は思ってましたけどね(笑)
神志那:なんかカッコつけてんじゃねえの(笑)そういっときゃなんか人生の先輩みたいな・・・(笑)
渚:リア充っぽいこといいやがってみたいな感じだよね(笑)
石井:いや、それすごい人が言ってたらどうしよう、それ(笑)
神志那:いや、別に(それでも)いいよ、おれは(笑)
稲垣:いや、正直別に、確かに人に色々あったほうがいいとか、すごく確かにそうなんだけど、じゃあいったい、それをどうやることに意味があるのかってちょっとピンとこないってのもあると思うんだよなぁ。
佐野:俺、でもまったくそれ同じ考え。恋愛したほうがいいよ。
石井:個人で、やりたいことをちゃんとしておけばいいってことじゃない。
佐野:え、でも仕事始まっちゃったらそんなこと考えてる暇なんてさ、全然ないじゃん。
渚:え、べつに仕事しながら恋愛すればいいじゃん。
神志那:そういうこと、そういうことだよなぁ。
吉田:ただ基本人種として恋愛すればいいとか人に会えばいいとか言ってるけど、9割方は絵を描いてる時間に当てられるようなもんだから、そうあった上で他のこと何するかっていうのは結構大事なのかなぁって。
佐野:だって学生のときの自由と全然違うじゃん。
渚:まあねぇ・・・。
石井:え、でも、だって、ライブの先輩たち結婚してるじゃないすか。
渚:そうだよ。
吉田:まあ、色々・・・じゃない。
佐野:でも、それってやっぱ大人になってから大人として結婚するっていうことと、学生のときに学生なりのそういう青春の楽しみ方をするってのは全く意味が違って、で、学生のときにそういうことをできてないと大人になってからいくらいい経験してもなんかさ、ずっとこう引きずり続けるっていうか。
渚:えー、別にいいんだよ、そんなの適当で。
佐野:いや、渚さんみたいにそうやって「いーんだよ」とか言える人はいいかもしれないけど、俺はなんかそういうふうに思わなければいけない人の・・・
渚:むかつくー!(笑)
吉田:ちがう、ちがう。
佐野:俺は渚さんがむかつく!
吉田:そう、そう、渚さん、それは分かってないよ、佐野君がどんだけやるせない気持ちでしゃべってるか渚さんは分かってないよ(笑)
渚:えー、わかんない、わかんない。
石井:別に恋愛どうのというか、好きなことをやって・・・
佐野:だからー、恋愛どうのって言うよりも、自分の青春時代に落し物をしてくるなってことを俺は言いたいの。
渚:別にさー、だってまだ佐野君若いんだからちょっと仕事さー・・・
佐野:若くねーよ、もう(笑)
渚:うるさいなー(笑)お前だまれよ、みたいな(笑)
吉田:違うよ、いまのは魂の叫びだよ(笑)
渚:えー、ほんとに~?だってさ、まだ佐野君の年だったらさ、ちょっと仕事ないがしろにしてでも好きな人に・・・
吉田:違うよ(笑)いま自分を振り返ってるんだよ。すげえやり残してるんだよ(笑)
石井:何が何が(笑)
佐野:いや、やり残してることたくさんあるよ、俺は。
(一同笑)
渚:佐野君さー、年取ったって思いすぎなんじゃないのー?
佐野:それはあるかも知れない。
渚:うん。そんな思う必要ないよ。まだ20代なんでしょ?石井さんもだよ、もう30になっちゃったなんて思う必要ないですよ。
石井:あ、はい。
稲垣:ちょ、ちょっとへんなところに・・・巻き込んだらあかん・・・
(一同笑)
石井:いや、そうじゃなくて、うち別に全然何歳?って言われても、いや言われなくてもうち30ですっていうというか。むしろ年齢言うほうだし、年は重ねてるけど、気持ち的に、全然もう、まだ中学生みたいな感じなんで。
渚:それどうなんすか(笑)中2まっさかりみたいな(笑)
石井:中二まっさかり、だってもう中二のほうが楽しいじゃないですか。
渚:楽しいですね(笑)ガッガッガッガッ・・・!って(笑)
吉田:楽しいか・・・?(笑)
石井:それこそ、うち自分ちのテレビの上のところに恐竜ジャーとジュウレンジャーのちっちゃいフィギアとかが並んでたりするようなあれなんで。あんま別に年齢とかを気にしてないし、やり残したとも思ってないし、これからも何かやりたいことがあればやろうと思ってるので。
渚:うん。いまからやればいいじゃん、じゃあ。別にちょっとぐらいね、2,3年ちょっとのめりこんで・・・
佐野:ちょ、ちょ、ちょ、違う。いや、そうじゃなくて最初の話が、入る前にこれやっとくといいよって言う話だったでしょ。
渚:ああ、そっか。ごめーん。
佐野:なんでこんなおれさー、今からやればいいじゃんとかさ、分かってんだよ、そんなこと言われなくてもよー!
渚:ごめんごめんごめん!ごめん!ごめん!気持ち分かってなかったね!
(一同笑)
【続く・・・】